2018年度第2回研究会:フェデラリスト政権と奴隷貿易:同盟、党派抗争、地域間対立

日時・場所

2019年2月9日(土)16:00-18:00
成蹊大学6号館6階601B・601C

講師

石川敬史 帝京大学文学部史学科准教授。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学後、博士(法学)取得。専門は、アメリカ革命期の政治史・政治思想史。著書に『アメリカ連邦政府の思想的基礎』(渓水社、2008年)、共著に『岩波講座政治哲学 啓蒙・革命・改革』(岩波書店、2014年)、『キリスト教のアメリカ的展開:継承と変容(上智大学出版、2011年)など。

発表内容

アメリカ合衆国の独立は、1783年のパリ条約によってヨーロッパ諸国に承認された。18世紀末葉の大西洋では、奴隷貿易が退潮を迎えており、アメリカ合衆国は、奴隷貿易が衰退し始めた時期に登場した奴隷制度を有する国家であったといえよう。それゆえアメリカ諸邦の、特に南部においてあくまで慣習的に存在していた奴隷制度は、アメリカ合衆国憲法の制定によって公式的な制度となったという見方をする研究者も存在する。しかし、大西洋世界における奴隷貿易をめぐる世論の変容にアメリカ合衆国が無縁であったわけではない。それは初期共和国のあり方をめぐる内政上の重大な問題になっていたと同時に、国際関係とも密接に関連する外交案件となっていた。

ベンジャミン・ウエストによるパリ条約の情景

  本発表では、初代大統領ジョージ・ワシントンと第二代大統領ジョン・アダムズによる、いわゆるフェデラリスト政権期における米仏同盟とジェイ条約、Quasi-Warとサン=ドマング独立をめぐる内政と外交を検討し、第三代大統領トマス・ジェファソンの政権以前の建国期アメリカの政治過程を外観する。以上の考察によって、これまでルイジアナ購入以降から語られることの多かった大陸国家アメリカをより明瞭に理解する視座を得られるとともに、独立戦争の過程でアメリカの指導者層が積み残した課題を確認することができるだろう。

研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)
どなたにも無料で参加していただけますが、会場整理の都合上、hibinoあっとまーくfh.seikei.ac.jpに事前のご連絡を下さいますようお願いいたします。