2019年度第1回研究会:トランスアトランティック・ゴシック―ヘンリー・ジェイムズの語り

日時:2019 年 11 月 30 日(土)15:30-18:00
場所成蹊大学 6号館 601 教室

いつもの会場とは異なりますのでご注意ください

基調発表:
信頼できない語り手の行方―Henry James 流ゴシック小説の到達点
水野尚之(京都大学)

ワークショップ:
“The Turn of the Screw”を読む
及川英(立教大学大学院博士前期課程修了/大学院研修生)
松丸彩乃(成蹊大学大学院博士後期課程)
四方朱子(京都大学大学院博士後期課程)
ピーター・バナード(ハーバード大学大学院博士後期課程修了)
コメンテイター:水野尚之


 本基盤研究(B)はメイフラワー・コンパクトが内包していた「排除/包括の理論」をさぐることによって、環大西洋文化を再定位し、アメリカ中心に進んできたグローバリゼーションの向かう方向を、環太平洋的視座も連動させつつ見定めることを目的としている。

 19世紀末に書かれた Henry James の中編小説“The Turn of the Screw”は、幽霊実在説や幻想説など、これまでに様々な解釈がなされてきた。小説の枠組みとなる序章と続く24章の関わり、「信頼できない語り手」の物語をどこまで信用できるのか、等々、この小説は冒頭から謎に包まれている。“The Turn of the Screw”を単体で解釈するのはもちろん王道だが、この小説以前に James が10 作以上のゴシック短編小説を書き、この作品以後も5作以上の同系列の小説を書き続けている事実を知り、“The Turn of the Screw”をその流れの中においてみると、また違った解釈も可能になるだろう。アメリカ人作家としてヨーロッパ小説の模倣から出発し、次第に独自のゴシック小説を生み出し ていった James が、最後に到達した地平とは?

“The Turn of the Screw”は、雑誌に連載されてから単行本の最終版に至るまでに、少なくとも5 回の作者による加筆を受けている。今回のワークショップでは、作者が最終版と認めた New York Edition をテキストとして推奨し、とりわけ「序」と「第1章」に注目して作品の精読を行うが、加筆 の過程を丁寧に辿れば、生涯にわたって自作の加筆を続けた James の、創作についてのこだわりの一端を垣間見ることができよう。

研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)


*どなたも歓迎ですが、会場整理の都合上、hibino あっとまーく fh.seikei.ac.jp まで事前にご連絡ください。