第100回 2025年3月28日(金)午後2時-5時
ズームにて(40分で切れてはつなぎを繰り返した)
■発表者:大武、板垣
参加者:菅原、小宮山、板垣、田浦、大武、髙瀬
2024年12月よりHerman MelvilleとNathaniel Hawthorneの短編を交互に読んでいる。今回はMelvilleの2回目。Diptyque作品の1つである“Poor Man’s Pudding and Rich Man’s Crumbs”を読んだ。
前半の“Poor Man’s Pudding”では語り手が詩人ブランドムーア氏の提案を受けて、Coulter氏の家を訪ね、夫人が「貧者のプディング」などの食事を用意してくれる様子が描かれる。発表者の大武さんが“almoner”という単語をイラスト付きで取り上げ知識が広がった。大武さんが取り上げたセンテンスでは、家の構造が湿気をもたらす様子が詳しく描かれており、湿度と気温の低さが貧しい暮らしをより一層厳しいものにしていることがわかった。また、切ってすぐの薪を燃やしている描写があるが、薪は乾燥させたものでなければよく燃えないため、これでは家が暖まらないことが、先生の軽井沢暮らしの経験からの補足があり理解が深まった。
後半の“Rich Man’s Crumbs”では、語り手はロンドンを訪れて役人風の男に連れられ、「富者の食べ残し」をむさぼる群衆の様子を見に行く。発表者の板垣くんの前半はCoulter夫妻という個人を描き、後半は集団を描いているという前置きの通り、ロンドンへと舞台を移し、語り手のcharity見物はおのぼりさん的な雰囲気をまとっている。板垣くんの集団をあらわす単語の抽出や“might have ~”への指摘にも注目が集まった。“dress”という衣服の指摘も興味深かった。
作品全体を俯瞰すると、前半と後半では舞台がアメリカの田舎のある家庭の貧困からイギリスの都市の貧困へと大きく変化しており、それによりヨーロッパからアメリカを眺める船乗りメルヴィルの視線もうかがい知ることができた気がする。
(報告者:髙瀬祐子)
*100 回目になりました。5月以降の読書会日程を相談し、夏合宿の日程の目安もできました。