2003年

アメリカ文学史  <通年> 

■授業の概要

 文学とは社会の局面を言葉によってテクストの中に再現する装置である。アメリカ合衆国の文化の特質を、様々なテクストから読み解いていく。15世紀ヨーロッパにおいて、新大陸としてのアメリカがどのような意味を持っていたかについて探る事から始め、17、18世紀の植民地時代の精神的背景、1776年の独立革命の与えた衝撃、19世紀アメリカ国家の発展時の精神的高揚等を、文学作品からたどる。また、こうした流れの中で、アメリカ人たちが自国のアイデンティティをどのように表現してきたかを考えていく。その上で、20世紀アメリカの世界制覇の文化的意味を探り、21世紀のアメリカの存在の意味と世界のあり方を検討したい。
 また、文学史という概念そのものに対する批評理論も紹介する。ことに、歴史と記憶との問題については、最近の精神医学の問題提起などを批評書から汲み取って、歴史言説のあり方に対しての感覚を養ってほしい。
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■授業の計画

前期: 15世紀ヨーロッパにおける新大陸の意味
     植民地時代のテクスト
     独立革命とアメリカ精神
     アメリカ文学の独立
     アメリカ・ルネサンス
     南北戦争と文学 後期: 19世紀後半の文学と文化
     自然主義文学
     世紀の変わり目の社会      
     1920年代の文学と文化
     第二次世界大戦の歴史の概念
     ユダヤ系文学
     黒人文学
     アメリカ的リアリズムの本質

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■授業方法

講義が中心であるが、ビデオなどによって視聴覚的にアメリカ文化に触れていきたい。また、インターネットによる情報収集(ことに英語で)にも慣れてもらいたい。指定された批評書2冊のうち、1冊を購入して読み、レポートを提出のこと。初回の授業で3冊の本の概要については説明するので、興味のあるものを選ぶこと。
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■テキスト/参考文献

Peter B. High, An Outline of American Literature (Longman Eicho-sha)
『歴史とトラウマ:記憶と忘却のメカニズム』下河辺美知子(作品社)
『トラウマへの探求:証言の不可能性と可能性』キャシー・カルース(作品社)

 
 
フレッシュマン・セミナー A <通年>

■授業の概要

[カルチュラル・スタディ入門]
 文化を論じるために、二つのアプローチをしたい。一つは、現代という時代を共通の基盤として、アメリカという異文化を見ること。今一つは、時間的な流れの中で、歴史的な視点からアメリカ文化を見ること。 
 文化の差異を学ぶことは、日本人としての自分の位置を探ることでもある。21世紀の世界で持ち上がってくる問題を、日常的なものから国際的なものまで取り上げて、自分の視点を探すための準備をしてほしい。文化を論じる方法をいくつか紹介し、具体例を英文のテクストで分析していく。
 また、英語そのものをきちんと読み解く基礎力をつけるために、辞書の引き方、文献の検索法、きちんとした発音、そして、インターネットによる情報収集力も訓練したい。

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■テキスト

Jim Knudsen, American Moment (Nan’un-do )
Joe Garner, We Interrupt This Broadcast (Macmillan Language House)

 
 
演習 Ⅰ・ⅡJ <通年>

■授業の概要

[黒人女性奴隷とアメリカ国家のアイデンティティ]
 ”黒人”と”奴隷”というカテゴリーがアメリカ国家の中でどのように構築されていったかを見ることは、アメリカ文化の本質に大きくかかわる問題である。黒人女性詩人バーバラ・チェイス=リボウが書いた小説『大統領の娘』(1994)は、黒人と白人の混血である一人の女奴隷の物語である。
 ヒロインの父が白人奴隷主であるばかりでなく、「独立宣言」の起草者であり第三代アメリカ大統領トマス・ジェファソンであるという設定が、この物語に人種にまつわる政治性を導入している。白人という人種の単一性を前提として構築されたナショナリティという概念について考察してみたい。
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■テキスト

Barbara Chase-Riboud, The President’s Daughter (1994)

 
 
演習 Ⅰ・ⅡK <通年>

■授業の概要

[アメリカン・ドリームの記録法]
 20世紀始め、アメリカ社会の繁栄の中で、”アメリカン・ドリーム”が花開き、そして無残に摘み取られていく。この様子を、身を持って実演した作家としてF.スコット・フィッツジェラルドの名は知られている。『偉大なるギャッツビー』で描かれる男の人生は、それを書いたフィッツ・ジェラルドの人生と重ねて論じられることが多い。そうした悲劇を文化の記憶とするための語り方を、アメリカの歴史の語りの一形態として考察したい。ニューヨークという都市の魔力、中西部と南部の持つ意味、巨大な産業資本と人間の関係などについても考えていく。
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■テキスト

F. Scott Fitzgerald, The Great Gatsby (1925)

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